約 431,385 件
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1282.html
839 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/11/20(日) 02 45 12.97 ID 2tMP6fLL0 タイトル:星に願いを・・・ 「まったくレンタカーなんて・・・・・ほんと甲斐性なしなんだから・・・」 俺は桐乃の言葉にちょっとムッとなる。 俺たちは、今レンタカーに乗って深夜のドライブをしている。普段は親父の車を使って桐 乃とドライブとかに出かけているが、たまたま今日は親父が車を使っていて、それでレン タカーになったわけだ。 「俺は大学生なんだから車なんて持てねーって」 「バイトやってんだったらさ、あたしが千葉マツダに口聞いてあげよっか?安くなるかも よ」 「おまえ、さりげなく営業すんじゃねーよ。てか車買っても駐車場とか税金とかいろいろ あんだから、社会人になるまでマイカーはお預けだ」 「ふん!そんじゃあんたが就職するまで我慢してあげる。まあレンタカーでもあんたのド ライブには付き合ってあげるから、感謝しなさいよねっ」 桐乃は助手席で踏ん反り返りながらそんなことを言う。しかしその横顔には薄っすらと笑 みを浮かべていた。 「そういやさ、今日はどこ行くのよ?」 「ああ、今日は何か流星群が見られるらしいんで、山のほうに行って見てみようかなって 思ってよ」 俺がそう言うと、桐乃は俺のほうに顔を向けて突然ニヤついた笑みを浮かべる。 「そんなロマンチックなこと言っちゃってさ、ほんとキモいんだから」 「バカ、別にいいだろ・・・・・そうじゃないと誘う理由なんて思いつかなかったし」 「マジキモい、どんだけあたしをドライブに誘いたいわけ?このシスコン」 「おまえだって、買い物とか遊びとかで俺に付き合えって言うじゃねーかよ」 「うっさいな、あたしは妹だからいいのっ」 「なんだよそれ・・・・・」 俺は桐乃の科白に突っ込みを入れる。まあ本気で言ってるわけじゃない。あくまで目的地 に着くまでの暇つぶしだ。桐乃もそれはわかっているのだろう、ツンっとしてはいるが本 気で怒ってはいないようだ。 いろいろ遠回りしてきたが、今の俺たちはいつもべったり引っ付いているちょっと変な兄 妹って関係だ。べったりっていっても、こうやってドライブしたりとか、買い物行ったり とか、まあその程度だけどな。 俺たちを知らないやつらが見たら、もしかしたら恋人同士に見えるかもしれない。しかし 俺たちは兄妹だ。 でもよ、兄妹と恋人の差って何なんだろうって俺は思うよ。 2時間くらい走ったであろうか、俺は街の明かりが遥か先に見える小高い山の山頂付近に 車を停める。そこは広い駐車場になっていて、周りを遮るものもあまりなく家とかの明か りもない。だから普段見ることができない小さな星々まで見ることができる恰好のスポッ トである。 「あんまり人いないな・・・」 「そうだね、こんな寒空に外出て星見ようなんて人もいないのかもね」 駐車場には数台の車が止まっている程度で閑散としている。車を止める場所もないかもと 心配していた俺であったが、この状況にちょっと拍子抜けしてしまう。 「どうする、俺たちも外出て見るか?」 「うーん、寒いから車の中でいいんじゃないの?」 「そっか、貸切とはいかねーがここでゆっくり眺めるか」 「そうだね」 俺は車のエンジンを切ると、少しシートを倒して寝転がりながら星空を眺める。それを見 た桐乃も同じようにシートを倒して星空を眺めている。 「桐乃、寒くないか?」 「うん、寒くない・・・」 「寒かったら言えよな。エンジンかけてやっからさ」 「なによ、あんたが暖めてくれんじゃないの?」 桐乃は俺のほうを向くと、ニヤニヤした顔でそんな冗談を言ってくる。俺はそんな桐乃に ちょっと呆れたような顔をすると 「バーカ、そんなこと言うとほんとにやるぞ」 と切り返してやった。 「キモッ!なに本気にしてんのよ、このシスコン」 桐乃はそう言ってツンっと口を尖らせると、星空に顔を向ける。 俺たちはそんな他愛もないやり取りをしながら星を眺める。もっと静かに見れないのかよ って自分でも思うが、まあこれが俺たちなんだろうよ。 しばらくすると、何となく桐乃が寒がっているような気がした。 「おい、エンジンかけるか?」 すると桐乃は 「エンジンかけると、回りに迷惑だからさ・・・あんたがこっち来てよ」 と言いながら、座席の片側に身を寄せる。 「バカ、そんな冗談言うと本気にするぞって言っただろっ」 「うっさいな、あたしがいいって言ってんだから、こっち来なさいよね」 俺は桐乃に押し切られるまま、助手席に移った。シートは二人が並んで座れるような幅も ないので、俺たちは体を少し横にして抱き合いながらシートに収まる。 顔を横にするとお互い見詰め合ってしまい恥ずかしくなるので、俺たちは星空に視線を向 ける。 「あんたの体ってさ、暖かいね」 「おまえも何かいい匂いするな」 俺は桐乃の温もりと匂いを感じながら、星空を眺める。桐乃も俺の体温を感じているのだ ろう先ほどまで感じていた寒そうな雰囲気はなく、同じように無言で星空を眺めているよ うだ。 すると、星空の一角から幾筋もの光が流れ始まる。まるで線香花火の光のように流れては 消え、消えてはまた流れる。 「ほら、流れ星!」 突然桐乃が星空を指差しながらそう言った。 「ああ、そうだな」 俺は静かに答える。 「願い事言った?」 不意に桐乃がそんなことを言う。 「えっ?まあな・・・・・・桐乃は何か言ったのか?」 俺は戸惑いながらそう答える。 「うん、言った。あんたのお願い当ててあげようかっ」 「俺もおまえのお願い当てられるような気がする」 「それじゃ一緒に言ってみる?」 「そうだな・・・」 俺の言葉を合図にお互いタイミングを合わせると 「「ずっと一緒にいられますようにっ!」」 俺たちはお互いの願い事を当て合った。桐乃が言った俺の願い事は当たっていた。俺が言 った桐乃の願い事もきっと当たっているだろう。俺たちは、お互いの願い事が同じであっ たことに安心して微笑み合った。 「兄妹で、こんなお願いって何か変だな・・・・・」 「そう?あたしはいいと思うけどな」 「だってよ・・・・・恋人とかがお願いすることだろ?」 「あんたはさ、兄妹と恋人ってどこが違うと思う?」 桐乃はそう言うと、また星空に視線を向ける。 「兄妹と恋人の違いか・・・・・」 俺も星空に視線を向けながら、考えてみる。 桐乃のやつも同じこと考えてたんだな・・・ 血が繋がってるから兄妹なのか?血が繋がっていない兄妹だっているしな・・・ キスとかしてるから恋人なのか?そんなのしないでも恋人同士っていえるやつらだってい っぱいいるよ。 だから俺はよ・・・・・・・・ 「どうわかった?」 「ああ、なんとなくな・・・」 自分なりの考えがまとまった俺は桐乃にそう答えた。それを聞いた桐乃は、こちらに顔を 向け 「そんじゃさ、聞かせて・・・」 と言った。俺も桐乃に顔を向けると 「兄妹と恋人の違いってよ、お互いがどう思ってるかの差くらいしかないんじゃないかと 思うよ」 と答えた。 「あたしも同じっ」 「・・・なんだよ、おまえもかよ」 桐乃は微笑みながらそう返してきた。それを聞いた俺は『まったく似たもの同士だな』と 思ってしまう。 しかしその後に続いた桐乃の言葉は俺の予想を超えていた。 「だからさ、あたしたちだって・・・・・キスとかしてもいいんだと思う・・・」 そう言って、桐乃は目を閉じた。 「-----っ!」 俺は突然の桐乃の行動に一瞬固まってしまう。しかし真っ直ぐと向けられた桐乃の顔に自 然と引き寄せられて・・・・・・・・ この夜、俺たちのちょっと変な兄妹って関係は、新たな一歩を踏み出したのであった。 Fin -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/877.html
495 :【SS】修学旅行 1/2:2011/06/29(水) 18 40 25.41 ID pin/Y6qC0 修学旅行とか、妄想が止まらない。 修学旅行前日: あやせ「どうしたんですか、お兄さん。 お兄さんから私に相談なんて・・・」 京介「お願いだあやせ!修学旅行の間、桐乃のことを守ってやってくれ!」 あやせ「お、お兄さん!?こんなところで土下座なんかしないでください!」 京介「頼む!」 あやせ「・・・はぁ。お兄さんに頼まれなくても桐乃のことはちゃんと守りますから・・・」 修学旅行一日目・夜: 京介「へっ。あいつがいないと勉強がはかどるぜ!」 修学旅行二日目・朝: 麻奈実「どうしたの、きょうちゃん? 元気がないよ?」 京介「・・・なんでもねえよ」 修学旅行二日目・昼: 桐乃(ひゃっほう!ご当地メルル3種類目発見! あとは、と) あやせ「桐乃は行く先々でお土産屋さんを覗いてるなぁ」 修学旅行二日目・夜: 京介「勉強が、手につかねえ」 桐乃「え?好きな人?そんな人いないよぉ~」 ランちん「本当?桐乃、行く先々でお土産を見てるじゃん。 本当は誰かにあげる気なんでしょ~」 桐乃「いつもお世話になってる人にあげるだけだって。 それよりあやせはさっきの神社で恋愛成就のお守りの前でボーっとしてたけど?」 あやせ「え?わ、私は素敵な恋がしたいなって思っただけだから。 お土産といえば加奈子もいっぱい買ってるよね」 加奈子「ん?ご当地メルルってのがあるみたいだからぁ、糞マネへのお土産にしようと集めてんの。 糞マネ喜ぶかなぁ。ひひっ」 あ桐「「・・・・・・」」 修学旅行最終日・朝: 先生「高坂は体調が優れないらしくて休みだ」 麻奈実(きょうちゃん平気かなぁ) 修学旅行最終日・昼: 桐乃「結局いいお土産見つからなかったな。 あいつの事だからどんなお土産でも喜んでくれると思うんだけど・・・ う~ん。でも、お守りだけだと寂しいよね? ・・・・・・早く帰りたいな」 あやせ(桐乃、すごい寂しそう・・・) 496 :【SS】修学旅行 2/2:2011/06/29(水) 18 41 07.47 ID pin/Y6qC0 修学旅行最終日・夜: 桐乃「ただいまー」 京介「おかえり」 桐乃「あんた、どうしてこんな時間にパジャマ着てるの?」 佳乃「京介ったら風邪引いちゃってねー。 ようやく直ってきたと思ったらずっとリビングで桐乃のこと待ってたのよ」 京介「待ってねえ!」 桐乃「ふ~ん。あんた、あたしに二日間会えないだけで免疫機構低下しちゃうんだぁ。 マジシスコンだね」 (・・・・・・こんなにすぐにダメになるんじゃ、一人じゃどこにも行けないじゃん) 京介「うっせぇ」 桐乃「はい、そんなあんたにもお土産買ってきてあげたんだから、感謝してよね」 京介「ハート型のストラップに・・・学業成就のお守りか。 ん?このお守り、なんか分厚くないか?」 桐乃「!!! ご利益のある紙でも入ってるんじゃないの? ・・・・・・あと、お守りの中、絶対に覗いちゃ駄目だからね?」 京介「覗かねえよ。 ・・・・・・お土産、ありがとうな」 桐乃「どういたしまして」 大介「・・・・・・俺には?」 桐乃「あ・・・ はい、生八橋」 大介「・・・・・・・・・」 桐乃「あ、そうだ。 あと一つ、あんたが好きそうなお土産があるんだけど」 修学旅行翌日・夕方: 麻奈実「きょうちゃん、今日は一日中携帯をいじくってたよね。 なにかあったの?」 京介「なんでもねえよ。ただ」 京介はポケットからハート型のストラップのついた携帯を取り出すと、待ち受け画像を確認して笑う。 京介「桐乃から『俺の好きなもの』をお土産に貰っただけだ」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/40.html
189 名前:156[sage] 投稿日:2010/11/22(月) 22 25 02 ID 937ly3Dx0 今日はあたしが起こした騒動のせいで食卓がすごく気まずかった。 お父さんはご機嫌だったけど、お母さんは不機嫌だし、アイツはあたしとは違う意味で気まずそうにしてた。 さすがのあたしもエロゲーをする気にもなれずにベッドでごろごろしている。 今ごろお父さんはお酒が回っていきて眠っているだろう。 お母さんはそろそろ夕食の片付けが終わる頃か。 アイツは今頃あの騒動のことを思い出して 「うわああああぁぁぁ(ry」ってなって悶えているのが壁越しでもわかる。 アイツのそんな姿を想像するとちょっとだけ気が楽になる。 『桐乃ー!ちょっと下まで来なさい!』 お母さんの声だ。内容は大体察しがつく。あたしが起こした騒動のお説教だろう。 お母さんにお説教されるなんて何年振りだろう。 渋々下のリビングへ行くとお母さんだけが居た。 「あれ?おとうさんは?」 あたしが聞くと、「飲み過ぎてもう寝ちゃった」と返ってきた。 続けてお母さんが切りだしてきた。 「呼ばれた理由はわかってるわね?」 やっぱりその件だ。あたしは素直に謝罪する。 「ごめんなさい・・・」 「桐乃が反省してるのはわかってる。私が聞きたいのはなんであんな事をしたのかをきいてるの。」 お母さんは相当怒っているようだ。ここは洗いざらい話すしかない。 「アイツが悪いんだもん・・・」 「やっぱり京介が悪いのね。」 『きょうs・・・・』 「ちょっ・・・ちょっと待って!言い方が悪かった!」 お母さんは怪訝な顔をしてあたしの方を見る。 それにしても、アイツはホントに信用ないな。あたしが知らないところで何かしたのかな? お母さんももう少し自分の息子を信用するべきだと思う。アイツはアイツでそれなりに・・・ 「ちゃんと説明するね。悪いのはあたし。でも、原因はアイツ。そういう意味なの」 「どういう事なの?ちゃんと順を追って話しなさい」 こうなったお母さんは誰に似たのか言っても聞かない。あたしは素直に事の顛末を離した。 「はぁ・・・・・」 怒られると思ったら呆れられた。これは普通に傷つくものだ。 「全く・・・『あの時』以来兄離れが出来たと思ったんだけどな・・・またお兄ちゃん子に戻っちゃったか・・・」 「うん・・・」 お母さんに嘘を言っても通用しない。 それにしても顔が熱い。多分化粧越しでも顔が真っ赤なのがわかるだろう。 「まあでも、どこの誰だかもわからない彼氏に入れ込んでるよりはいいのかもね」 やっとお母さんの機嫌が普段どおりになってきた。 「ちっちゃい時みたいに『あたしおにいちゃんのおよめさんになるー!』とか言い出しちゃ駄目よ。」 「い、言えないよ!そんな事!」 っ・・・!今の失言は聞かれなかったことを祈ろう。 「わかったわかった。京介も男の子なんだから気を付けなさいよ。それと、もう二度とあんな事しちゃ駄目よ。」 まったくお母さんの前なら素直になれるんだけどな。あたしのこの性格は誰に似たんだろうな。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/885.html
191 名前:【SS】二人の予定・side桐乃[sage] 投稿日:2011/07/01(金) 21 22 40.34 ID GbD2GJoC0 [3/3] あたしはお気に入りのシステム手帳を広げ、今後のスケジュールを確認していた。 陸上に勉強にモデルにアニメにエロゲに毎日大忙しだ。 ふと思い立ち引き出しから一昨年の手帳を取り出す。 手帳に書かれている予定は違えど、内容はほとんど同じだ。 陸上に勉強にモデルにアニメにエロゲ・・・・・・ ただ、少しだけ違っているところがある。 『KLT』はなし。 『KKP』は週に一度、一時間。 『APK』はほぼ毎日、30分ずつ。 次に去年の手帳を取り出す。 『KLT』は週に一度、一時間。ただし、時々実行できなかった事を示す赤線が引かれている。 『KKP』は週に3回、一時間。 『APK』は週に3,4回、30分ずつ。 「この頃は、京介とこんなに一緒にいられるようになるとは思ってなかったな・・・」 一昨年なんてKLT―『京介とのラブラブタイム』は略称しかなかった。 KKP―『京介攻略プラン』はどうやって話そうか、何を話そうかしか考えられなかったし、ほとんど実行に移せなかった。 そのくせAPK―兄パンくんかは寂しさを紛らわせるためにほぼ毎日やっていた。むしろ、上限を決めておかなくちゃヤバかった。 「えへへ」 二つの手帳を引き出しの戻し、代わりに真新しい手帳を取り出す。 「さぁて、予定を立てようかな♪」 真っ白いページに予定を書き込んでいく。 明日は、来週は、クリスマスは、あいつと何をして過ごそうか。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1344.html
496 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/01/02(月) 23 07 28.86 ID XDrOkqBe0 [1/2] 神田明神で、拙いながら高坂兄妹の痛絵馬を奉納してきましたよ 今年も桐乃と京介でたくさん2828できますように・・・!
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1136.html
685 名前:【SS】プライベート・ファッションショー 1/4[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 15 39 23.69 ID X+PQqFWx0 [10/19] 『カメラを持ってあたしの部屋に来ること!』 9月21日の夜、そんなメールを受け取った俺は、桐乃の部屋の前に立っていた。 「一体何の用なんだ?」 いつもならずかずかと俺の部屋に入ってきて、好き勝手に命令するだけだろうに。 しかもカメラって・・・・・・桐乃のコレクションの撮影でもさせる気か? 「まあ、考えても仕方ないか」 俺はカメラを持っていることを確認すると、桐乃の部屋の扉をノックした。 「桐乃、入っていいか?」 「う、うん! 入ってきていいよ」 どことなく緊張した桐乃の声が返ってきた。 不思議に思いつつも俺が扉を開けると、 部屋の中心に、浴衣姿の桐乃が立っていた。 「き、桐乃?」 わけがわからず、その言葉だけを搾り出す。 今日、これから花火大会とかあったっけ? 「今日はファッションショーの日なんだって。 だから、今日だけ特別に、あんたのためにファッションショーを開いてあげる」 浴衣を完璧に着こなす桐乃の顔は、どことなく赤い。 こいつ、照れてるのか? 「でも、なんでまた・・・・・・」 おまえ、俺のこと嫌いだろ? ファッションショーの日だからって、俺のためにファッションショーを開いてくれるなんてにわかには信じられねえんだが。 「その・・・・・・あんたさ、あたしのワガママのせいでこれからもずっと彼女が作れないじゃん? だからさ、一年に一回くらい、彼女の代わりにあたしの綺麗で可愛い姿を見せてあげないと可哀想かなって思ったの! あんたシスコンだから嬉しいでしょ?」 「桐乃・・・・・・」 そんなことを考えていてくれたのか。 俺が彼女を作れないのは、そもそも俺が桐乃にワガママを言ったからだって言うのに、こいつはそれを気にしてたのか。 そしてせめて、少しくらいは彼女の代わりに俺を楽しませてくれようと頑張ってるんだな。 その心遣いが、とても嬉しい。 「・・・・・・その、嬉しくない?」 桐乃が不安そうに尋ねてくる。 「そんなハズねえだろうが! これから毎年桐乃の個人ファッションショーが拝めるなら、一生彼女なんか要らないね!」 わりかし本気でそう言う。 「・・・・・・キモ」 桐乃がさらに顔を赤くし、そっぽを向いた。 むっ。さすがに引いちまったか? 「一生彼女が要らないなんて、こいつどれだけあたしのこと好きなのよ・・・・・・」 桐乃がポツリと何事か呟いたが、俺にはよく聞き取れなかった。 「なんか言ったか?」 「なんでもない! 今度せなちーのお兄さんに挑まれても勝てるように、あたしの可愛い姿、ちゃんといっぱい撮りなさいよね!」 こうして俺の夢のような時間が始まった。 浴衣。制服(夏)。制服(冬)。白いワンピース。 カジュアルな服から、パティードレスのようなきらびやかな服まで。 そして、ゴシックドレス、メイドさん、チャイナ服といったメジャーなコスプレ衣装。 極めつけはスクール水着。白のワンピース水着。赤いビキニ。競泳水着。そしてビキニエプロン。 その他もろもろ。 686 名前:【SS】プライベート・ファッションショー 2/4[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 15 39 41.25 ID X+PQqFWx0 [11/19] 「ふぅ」 さすがに疲れてきたので一息つく。 8時くらいに始まったファッションショーだったが、気がつけば2時を超えていた。 撮影枚数は数えるのが馬鹿らしくなるほど。 もしかして赤城の瀬菜コレよりも多いんじゃねえか?と思うほどに撮りまくった。 「これから毎年桐乃の個人ファッションショーが拝めるなら、マジで一生彼女なんか必要ないな」 今までの写真を確認しながら、ポツリと呟く。 くそっ!何で去年の俺たちは仲が悪かったんだ? おかげでコレクションが一年分減っちまったじゃねえか。 桐乃と仲が悪くなる前から人生やり直したくなるが・・・・・・いや、今のこの状況はあの冷戦があったからこそ築けたんだよな。 「・・・・・・キモ」 桐乃が俺のほうを見ながらポツリと呟いた。 これで今日何度目の『キモ』だ? まあ、そこまで俺を気持ち悪がってるわけじゃないみたいだから気にしないでおくか。 「・・・・・・ねえ、今言ったのって本心?」 桐乃がエプロンの裾をいじりながら聞いてくる。 ちなみに今の衣装はビキニエプロンだ。 マジ最高。このまま時が止まればいいのに。 「今言ったのって・・・・・・一生彼女なんかいらないって事か?」 「うん」 「そうだな・・・・・・ もし俺が彼女を作らないで、おまえも彼氏を作らないで、年に一度でいいからこうやって一緒に楽しめたら・・・・・・ それで十分かもしれないな」 桐乃に恋人ができて欲しくないから、俺も恋人は作らない。 だからこうやって、時々お互いに慰めあう。 今の俺にはこのままでいいんじゃないかと思えてしまう。 きっと、目先の答えでしかないんだろうけどな。 「ふ~ん。 ・・・・・・それじゃあ、次で最後だから」 「おう」 次で最後か・・・・・・少し寂しいが、もう晩いし仕方がないだろう。 これから桐乃が部屋で着替えるため、俺は部屋の外に出た。 別に、俺的には部屋の中にいても問題ないんだがな。 今までの倍くらいの時間を外で待つ。 最後は何の衣装だ? どんどん過激になっていってるから、最後はこの間俺がプレゼントしたアレでアレな下着かも知れん。 いや、そうに決まってる。だがそうなると、部屋に入ってから俺は何秒間意識を保てるだろうか。 せめて一枚写真を撮ってから気絶したいもんだぜ。 「・・・・・・いいよ」 部屋の中から桐乃の呼び声が聞こえた。 随分と慣れてきたと思ったが、今回の声は初めよりも緊張しているように感じる。 まさか、本当にあの下着姿なのかそうなのか!!!??? 俺は期待に眼を輝かせ、ドアノブに手をかけ、扉を開けた。 部屋の中心には、花嫁衣裳の桐乃が立っていた。 687 名前:【SS】プライベート・ファッションショー 3/4[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 15 40 05.42 ID X+PQqFWx0 [12/19] 「・・・・・・」 思いがけない光景に、何の言葉も出ない。 本当に、たった一つの感想が頭に浮かぶだけだ。 「・・・・・・どう?」 桐乃の言葉に、浮かれた頭のまま答える。 「綺麗だ。 ・・・・・・今までに見た、何よりも」 「え?」 俺の言葉に、桐乃の顔が真っ赤に染まっていく。 あの時は忙しくてちゃんと見てやることはできなかったが、こうやって改めて見ると、 ウェディングドレスを着た桐乃は、今まで見た誰よりも綺麗だった。 「おまえ、どうしたんだ、この衣装」 「これね、美咲さんが撮影が遅れちゃったお詫びにってプレゼントしてくれたの。 汚れたり、解れちゃったりしたところも修理してあるよ」 「そのくせスカートは破れたままなんだな」 「なんか、美咲さんがこのデザイン気に入っちゃったんだって。 今度このドレスとあの時の事をモデルにした新しい衣装を発表するみたいよ」 「そうか」 上の空の返事をする。 顔を赤らめながら俺を見つめる桐乃を見て、俺は改めて一つ決心した。 「絶対に、おまえを嫁になんか行かせねえからな。 おまえを誰かにやるくらいなら、俺が代わりに結婚してやんよ」 無意識のうちにそんな言葉がこぼれた。 「・・・・・・このシスコン」 俺の言葉に桐乃は俯いてしまい、その表情は伺えない。 「でも、ちょっとだけ嬉しかったから」 「え?」 ポツリと呟いた桐乃の声が聞き取れず、俺は聞き返した。 「なんでもない! とにかく、あたしが彼氏を作れないのはあんたのせいなんだから― あたしが大人になった時に結婚してなかったら、ちゃんと責任とってよね!」 そう言って顔を上げた桐乃の顔は綺麗というよりも― いや、感想を言うのはそれこそ野暮ってもんだろう? 689 名前:【SS】プライベート・ファッションショー 4/4[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 15 40 27.27 ID X+PQqFWx0 [13/19] この後のことはよく覚えていない。 残っているのは脳裏に刻まれた桐乃の眩い姿と、百枚以上の桐乃の魅力的な写真、 そして最後のこのイベントだけだ。 「ねえ、最後に一つだけ、絶対にせなちーに勝てる写真を撮らせてあげる」 「なに!? キ、キスしてくれるの?」 「し、しないから! そうじゃなくてね・・・・・・」 「おい赤城、やっぱり俺の妹の方が数兆倍可愛いわ」 昼休み、俺は赤城に声をかけた。 「ハッ!高坂、おまえまだそんな世迷言を言ってるのか? おまえだって見ただろ? 瀬菜ちゃんのほっぺにちゅー。 あれに勝とうと思ったら、おまえのラブラブツーショットプリクラの三倍は持って来い」 「ほっぺにちゅー、か。 それはこれだな?」 俺はあの時の写メを赤城に突きつける。 「そうだった、高坂! それを俺の携帯に送りやがれ!」 赤城が俺に詰め寄ってくる。 「いいぜ。ただし、俺との勝負が終わったらな」 「面白い。高坂、瀬菜ちゃんにあって、おまえの妹にはない決定的な差、ブラコン力を教えてやるぜ!」 「ブラコン力、か。 くくく・・・・・・」 俺はこれから赤城に見せる写真を思い浮かべ、不適な笑みを浮かべた。 「高坂、何が可笑しい!」 「いや、ひとつ間違いがあったな。 これは勝負ではなく、俺が徹底的におまえを蹂躙し尽くすだけだった」 「なん・・・・・・だと・・・・・・? 何を隠している、高坂!」 「ククク・・・・・・フフフ・・・・・・フハハハハハハハ! 俺の新デッキ『プライベート・ファッションショー』の魅力を思い知るがいい! 俺の先行!俺は手札からこのカードを使用するぜ!」 俺は携帯を操作すると、待ち受け画面を赤城に突きつけた。 「こ、これは―! ぐわぁぁぁぁぁ!!!」 赤城が断末魔の叫び声を上げ、後ろに倒れる。 うむ。相変わらずノリのいいヤツだ。 「そ、そんな馬鹿な・・・・・・」 赤城のうめき声が聞こえる。 「ククク・・・・・・さすが女神に祝福されし力・・・・・・ 赤城程度では一撃か・・・・・・」 俺が赤城を睥睨すると、赤城はスクリと立ち上がり、 「せ、瀬菜ちゃーん!!」 と叫ぶと走り去っていった。 まったく、妹に泣きつこうとは相変わらず重度のシスコンだな。 恐れ入るぜ。 「ね、ねぇきょうちゃん、今度はどんな写真を見せたの?」 近くで俺たちの決闘を見ていた麻奈実が、恐る恐るといった様子で尋ねてきた。 「あー、ちょっとした『兄妹写真』だ」 俺は先ほど赤城に突きつけた携帯のディスプレイを確認する。 そこには緊張した面持ちで硬くなっているスーツ姿の俺と、 俺の腕に自分の腕を絡めしなだれかかり、幸せそうに微笑む花嫁姿の桐乃が写っていた。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/354.html
338 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/24(木) 15 49 21.11 ID WAxX6Bgd0 [2/2] SS『赤城兄妹の会話―ある兄妹について』 俺の名前は、赤城浩平。近所の高校に通う18歳。 自分で言うのもなんだが、ごく平凡な男子高校生である。 サッカー部に所属していて、趣味はエロサイト巡回。 流行の音楽も聴くし、漫画、小説も見る。 放課後は部活をしたり、友達とだべりながら町をぶらついたりする。 勉強することは………あまりないが………。 だいたい普通の高校生ってのはそんなもんだろう? それなりに楽しく、それなりに苦しい毎日だが、まあ、俺なりに満足している。 平凡とか普通ってのは、まあ、そんな程度のもんだろ? 勿論俺にだって、口には出せない秘密の1つや2つくらいは有る。 でもまあ、そんなものがあることもまた『普通』ってもんだよな? 実は、そんな事を考えていたのには、理由がある。 俺の高校での親友―――高坂京介。こいつが原因だ。 高坂は、趣味から何から俺とは違うところが多いヤツだ。 だけどまあ、ウマが合うっていうのかな?いつの間にやら、親友になってたのさ。 だが………俺が、ヤツについて、決して理解できない事が一つだけある。 高坂は―――自分が『普通』であると思っているという、その一点だっ! そもそもな?お前、可愛い幼馴染がいるとか、ど・こ・が、『普通』なんだよっ!? で、さらにだ。勉強ができて、我らが地方大学に楽々入れるレベルだとっ!? まだまだある。深夜のエロゲ販売に並ぶだとっ!?『普通』じゃねーよっ!? そのうえ、これは俺の天使から聞いた話なんだが……… 何人か後輩から、愛の眼差しを受けているっだとっ!?しかもJCからもだとっ!? ど・の・あ・た・り・が、『普通』なんだよっ!? あ、挙句の果てにっ!俺の妹がモデルで?成績優秀で?スポーツ万能だぁ? そんな風に、妹を自分の彼女みてーに誇らしげに語ってんじゃねーよ!? ………………………ちょっと興奮しすぎたようだ。 「お兄ちゃん?どうしたの?机を叩くような音がしたよ?」 部屋の外から、心配そうな声をかけてくれたのは、この俺の天使、瀬菜ちゃんだ。 「すまん。おどろかせちまったな。まあ、入れよ。」 「うん。それじゃ、失礼します。」 瀬菜ちゃん。 俺と同じく赤みがかったショートヘア、すらりと背が高く、 それなのに、胸は人一倍大きく、大人っぽい色気をかもし出している、俺の天使。 本当に、本当に、可愛らしい、俺の妹だ。 「それで、どうしたの?お兄ちゃん。」 「実は、高坂のこと考えてたんだ。お前も知っているだろ?」 瀬菜ちゃんは、急に頬を赤らめ、俯いてしまう。 な、何!?お、お前、高坂の事気になってんのか!? 「お、お兄ちゃん………」 「ゆ、許さんぞ?大事なお前を高坂のヤツなんぞに渡せるかっ!」 「ええっ!?何それ!?」 「お、お前、こ、高坂の事好きで、顔、赤くしたんじゃ………?」 「ご、ごめんね。お兄ちゃん。私、お兄ちゃんが高坂先輩の事気にしてるって言うから………」 あー………そうだった。瀬菜ちゃんは、天使だけど腐女子だったな。 ってことは、今、瀬菜ちゃんの頭の中では、俺と高坂が裸になってくんずほぐr おぇぇぇえぇぇぇぇっ! そ、想像しちまったじゃねーかっ! 「そ、そういう意味じゃなくってな?」 「ご、ごめんね。」 「いや、瀬菜ちゃんは悪くないからね。」 「うん。ありがと。お兄ちゃん。」 ほら見ろよ? これが俺の天使だ。 「俺が気にしてるのは………高坂のヤツが、妹の事、どう思ってるのかなって事だ。」 「桐乃ちゃんの事?」 「おっ?瀬菜ちゃん、あいつの妹知ってんの?」 「うん。この前の夏コミで会ったの。」 そうなのか。 意外と世間。せめーもんだなー 「それでね、お兄ちゃん。桐乃ちゃんすごいんだよ〜」 「ああ、高坂のヤツから、何度も何度もきかされて、耳にタコが出来そうだ。」 「えっ!?お兄ちゃんも聞いてたの? 桐乃ちゃんが、お兄ちゃんのコト大好き、愛してるって!」 ぶーーーーーーっ!? あ、愛ぃ!? 「お兄ちゃん。汚いよ?」 「お、俺の聞いたのはだな? 高坂のヤツが、お前の妹なんざ比べ物にならんくらい可愛いとかな、 その他色々と自慢し続けている事くらいだ。 いや、もちろん、瀬菜ちゃんの方が可愛いからな。」 「うん。ありがとう、お兄ちゃん。 でも、高坂先輩は、具体的にどんなことを話してるの?」 「具体的に?そうだな………」 あまり思い出したくも無いが、瀬菜ちゃんの頼みなら仕方ない。 この一年間、高坂に聞かされ続けたからなっ! 思い出したくなくても思い出しちまうぜ! 「まず、妹は読者モデルだの勉強も優秀だの、スポーツ万能だの、自信満々に喋ってくるんだよなー。 別にあいつ自身がスゲェわけじゃねーだろ?」 「う、うん。」 「ああ、そうだ。でも、それだけじゃ、俺の妹の凄さわかんねーよな?とか言い出してな。 『まず、目が綺麗だ。お前の妹みたいに腐ったりしてねー』とか 『あの柔らかほっぺ。男なら誰だってキスしてーくらい柔らかいんだぜ?』 『丸顔?女はちょっとくらいふくよかな方が魅力あるってんだよ!』 『おめーの妹、ただの牛じゃねーか、俺の妹のおっぱいがベスト!』だとかな? なんかムカついてきたな。それに、 『化粧のセンスがちげーよ?モデルだぜ?』 『染め毛?だったら、黒に戻したら、今の差が10倍に広がるっての!』 『ただの天才じゃねー、努力でここまできたっての!』 『足や尻も程よく引き締まって、脂肪の塊とはちげーよ?』だとぉ? 高坂のヤツ、後で、ぜってー殺す。他にも、 『あのさらさらの髪から、ほのかに漂うシャンプーの香りとか、他の女じゃありえねー』 『下着だって、マジ可愛い。清楚な色ばっかだぜ?ビッチとはちげーよ?』だの 『普乳?ちげーよ、十分に大きいし、弾力も十分。まじやわらけー』 『お前の妹のように腐っちゃいねー、俺の妹はそばに居るだけでいい香りがしてくる』 だとか、まだいくらでも挙げられるが、怒りがおさまらねえ。」 「うわあ………………」 さすがに、俺の瀬菜ちゃんも引きまくってる。 つーかよ?いちいち俺の妹に対抗してんじゃねーよ!? いや、俺も『たまに』瀬菜ちゃんのことを話題に挙げちまうんだけどさ? 「お兄ちゃん。それ、やばいね。」 「瀬菜ちゃんもそう思うだろ?シスコンもここまでくれば―――」 「それ、シスコン超えてるよ。お兄ちゃん。」 「えっ?」 「例えば、下着とか、おっぱいのやわらかさとか………」 ………そうだ。たしかにそのときはあまり気にしてなかったが、 妹の胸の弾力を知ってるとか、下着の種類わかってるとか……… 「完璧に変態じゃねーか」 「う、うん。」 「警察に通報すべきか!?」 「そ、そうじゃなくってね。 ちょっと、私の話を聞いてから、考えてみて。」 「お、おう?」 なんか、瀬菜ちゃんらしくもなく、すこし恥ずかしがってるようだが……… 「私のほうは、桐乃ちゃんから聴いた話なんだけどね。」 「なるほど。妹との話と照らし合わせるんだな?」 「うん。それでね。桐乃ちゃん。いつもこんなこと言ってるの。 『あいつほんっとシスコンっ』 『あいつ、あたしの胸とかガン見してるしー、あーマジきもい』 『あいつ、あたしの下着みて興奮してんの最っ低じゃない』 『あいつってさー?あたしに会えないだけで泣きそうになってんの、ちょうキモいじゃん』 こんな感じ………」 「あー………とんでもねー………妹だな? なんか、さっきの大好きだとか愛だとか、全然ちげーよな?」 こんなこと、瀬菜ちゃんが言い出したら、さすがに俺も泣くぜ? 「うん。でもね、喋ってるときの口調は全然違って楽しそうなの。」 「この内容でかっ!?」 「そう。本心と全く違う言葉だから、言葉と表情や口調が合ってないの。 某掲示板なんかだと、桐乃語って呼ばれてて、これを読み解く能力をきりりんがる って言ってるんだけど。実際に解読すると、こうなるみたい。 『お兄ちゃん!もっとあたしを愛してっ!』 『お兄ちゃん………あたしの胸、そんなに見たいの?もっと見て♪』 『お兄ちゃん………あたしの下着によくじょーしてるの?うん、いいよ♪』 『お兄ちゃん、あたしと会えないと泣くぐらい寂しいんだね。一生一緒にいてあげるね♪』」 「できれば、解読前の状態でとどめてほしかったな!?」 「他にもね、例えばこんな事を言ってるの。 『地味子や黒猫や沙織とさあ?ベタベタしちゃってさあ?死んだ方がいいよね?』 『妹の言うことが聞けないってわけ?マジ最低ー』 『デレデレすんなってのっ!キモっ、キモキモキモっ!』 『………バカ兄貴………』 解読………できるよね?」 「ああ、さっきの話を前提にすると、あまりにも分かりやすすぎるな。 『他の女の子とお話しないでっ!あたしとお話してよっ!』 『あたしの事が一番でしょ?ねえ、ちゃんと聞いてってば!』 『あたしの方が可愛いでしょ!?もっと、あたしだけを見てよっ!』 『お兄ちゃん………大好き………(はぁと』 というわけだな?」 なんつーこっぱずかしいことを人前で喋ってる妹だよっ!? つーか、兄妹共にこれって……… 「お兄ちゃんも、分かるよね?」 「ああ、これは、ただのブラコンシスコンじゃねーな? 完璧に、『た・だ・のバカップル』だな。」 「どうしよう………もう、胸とかパンツとか、AtoZな感じで突き抜けてるのかな? 目を見て話せるか心配になっちゃうよ。」 「ああ、俺も、心配になってきたほどだ。………パンツ?」 「あっ………」 「他にも何かあるのか………」 「こ、これは、絶対他の人に言っちゃダメだよ?お兄ちゃん。」 「お、おう」 「実は、この前チャットで会話中に、 『せなちー、兄貴のぱんつってどう思う』って聞かれたの………」 「………もう、だめだわこの兄妹。」 結局、さらにまだまだ、沢山のダメなエピソードが確認できたんだが……… ここで、みんなに確認したいことがある。(みんなって誰だ? なあ? 高坂にとっての『普通』ってなんだ? 高坂のヤツが『普通』なわけねーよな!? -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/491.html
588 名前:【SS】土手を歩く[sage] 投稿日:2011/03/29(火) 20 48 05.97 ID JZcyli1r0 [2/2] あの日、俺は学校のあと、お袋が封書を書留で出しておけって言うもんだから郵便局に行った。 その帰りに、土手を見上げた。 特に理由はないが、なんとなく土手を歩いて帰ろうと考えた。 ――なんか、こう、大きい川をたまに見るのもいいもんだな。 そんなことを考えながら、歩いていたところ、 ……タッタッタッ。 後ろから駆け足する音が聞こえた。 土手でジョギングか。 最近、世間で流行ってるっぽいからな。 そして、そのまま俺の横を駆け抜ける……と思ったらそいつは歩き出した。 疲れたのか? ……横を向いたら 桐乃だった。 「……なによ? ふん」 じろっと一度睨み付けて、すぐにそっぽを向きやがった。 ――しばらく、そのまま俺たちは歩きつづけた。 ……ふと、小さな疑問が浮かんだ。 そのまま、前を向きながら俺は聞いた。 「……おい、桐乃」 「……なに? 外なんだから慣れなれしくしないんでくれない?」 「おまえ、俺を探してたの?」 「はあっ!? なんでそうなるわけ?」 「だって、お前、俺のところに来たら走るのやめたじゃねえか? なんか用事なんじゃねえの?」 「ふ、ふん、土手で走りたくなって、そしたらたまたまあんたのところで疲れて歩きなくなっただけだっつーの! 何、勘違いしてんの? キモいんですけど」 なんかいつにもまして攻撃的だな。 ってか、もし疲れてたら、ゼーゼー息がもっと切れてるだろ。 ぜんぜん切れてねーじゃん、お前。 ……なんてことを言ったら、またギャーギャーうるせえから言わないがな。 「……そうかよ」 こいつの行動は良く分からないが、それはいつものことだ。 俺は適当に返した。 ――俺たちは歩く。 どちらかが遅くも速くもなく、そのまま並んで歩いた。 俺は何気なく呟いた。 「……綺麗だな」 「え!?」 「……いや、川が」 「あ、あ、あ、そう、かもね。」 よく分からない反応をしやがる。 何か別のことでも考えたのか? その別のことだか分からないが、桐乃が視線だけを俺に向けながら何かを話しかけた。 「あのさ……」 「ん?」 「い、いや、なんでもない」 気になるが、言えよ!っていうとまたうるせえだろう。 その替わりにこう返事した。 「変なやつ」 「いま、なんて言った、あんた!?」 「なんでもありません! すいませんでした!」 「……ったく」 ――いつものようなやりとりのあとは、俺たちは特になにもしゃべることもなく、しかしやはりそのまま並んで家に帰った。 ――誰が見ても、仲の良い兄妹とは絶対に見えないだろう。 しかし、以前の俺たちだったら、一緒に帰るということすらもなかったはずだ。 桐乃だったら、そのまま俺を無視して走りすぎたか、あるいは俺を見かけただけで土手を走ることもなかったたかもしれない。それに比べたら、ずいぶんとよくなったのかもしれないな。だからと言って、妹が大嫌いであることは変わらないけどな。あいつだって俺のことが嫌いだろうしな。 「「ただいま」」 別にあわせるつもりもなかったが、俺たちは同時に帰宅したことを告げるあいさつをした。 ――そして、今日も俺は土手を歩く。 なんてことない。 また土手を歩きたくなった気分になったからだ。 ……横を向く。 もちろん、誰もいない。桐乃もいない。 ――そういや、あいつ、あの日何を言おうとしてたんだろうな。 留学のことだったのか……。 それとも別のことだったのか……。 ふと俺は思った。 まあな、俺はぜんぜんっ、あいつのことなんて気にしてもいないがな。 何も言わないで行っちまった妹のことなんて知ったことか。 せいぜい向こうでがんばりやがれ、ばかやろう。 ――また、あいつとここを歩くことはあるのかな。 歩きながら、ふと俺は思った。 おわり。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1831.html
SS『ある朝の日常(桐乃Ver.)』 ん、、、? 「zzzzzzzzzzz。」 ん、、、ん!? へっ!? 説明しよう。朝起きたら、兄貴の胸に埋もれてた。 いやいや、マジでマジで。エロゲーの話じゃなくてさ。 朝起きたら、京介があたしを抱きしめるように、ぎゅっとして寝ていた、っつー状況なワケ。 どうやら寝ぼけてやってるみたいだケド、、、。 ゆ、夢じゃないよね、コレって。 頬をつねってみる。痛っ!やっぱり夢じゃない!うれ、、、じゃなかった、やばいっしょ! いくら無意識っつっても、妹を抱きしめて眠ってるとか、どんだけシスコンなんだってーの!抱き枕か!あたしは! ど、どうすりゃいいのよ、コレ、、、? お、落ち着け、あたし。落ち着いて、深呼吸、深呼吸。 すーはー、すーはー、す、、、すんすんすん、、、じゃなくて! ダメだ、どんだけテンパってんだか、あたしってば。 どうしよう。 どうしよう。 いつもみたいにひっぱたいて起こすか、、、? う~~~~~~~~ん。 で、でも。でも、でも。 ぐっすり寝てるのに、起こしたりしちゃ可哀想だよね、、、。 うん、、、しょーがないよね。 うん、しょーがない、しょーがない。 、、、それに、、、。 これは夢じゃなくって、、、でも"夢"だったんだしね、、、。 うん、、、。 だよね。そうだよね。ちょっとくらい、いーよね。 もうちょっとだけ。 もうちょっとだけ、"夢"の続きを見ていようっと♪ Fin ----
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1015.html
635 名前:【SS】ガンバレ 1/3[sage] 投稿日:2011/08/11(木) 10 19 51.72 ID xdBhCdG70 [2/10] 「八月十一日はガンバレの日か」 ガンバレの日( 日本) 1936年8月11日に、ベルリンオリンピックの女子200m平泳ぎ決勝で、 ラジオの実況をしていた日本放送協会の河西三省アナウンサーが前畑秀子選手に「前畑ガンバレ」と20回以上連呼し、日本中をわかせたことに由来。 前畑は優勝し、日本人女性として初めての金メダルを獲得した。 wikipediaより 『ガンバレ』なんて言葉を見ると、桐乃とリアの対決を見たあの日のことを思い出す。 俺がどれだけ応援しようが、桐乃を勝たせることは出来なかった。 そもそも、最近になったようやく頑張り始めた俺の応援が、ずっと一人で頑張り続けてきたあいつを力付ける事なんかできたのか。 時々、そんなことを考えてしまう。 俺が努力をするようになったのは、桐乃の頑張る姿を見たからだ。 桐乃の努力する姿を見たからだ。 あの小説の盗作事件のとき、俺は自分が桐乃に覚えていた劣等感を気づかされ、それ以来努力するようになった。 でも努力の大切さと一緒に、必ずしも努力が報われるわけじゃない事も知った。 黒猫も、瀬菜も、フェイトさんも、努力しても報われなかった。 『周りと合わないから』そんな理由で努力は無為になる。 周りが求めるものを取り入れればいいじゃん、妹様ならそんなありがたい言葉を下さるだろうが、それでもそれが『出来ない』奴らもいるんだぜ。 そして俺の中には、頑張り続ける桐乃に対して、今でも劣等感が残ってる。 例え今の桐乃が努力した結果の姿だとしても、桐乃と比べられると自分が惨めになる、 だから今も、俺を小馬鹿にしたりする妹の事が嫌いだ。 俺より遥かに優秀な妹が大嫌いだ。 きっとこの劣等感は、俺がどれだけ努力をしても、桐乃に好きなところを見つけても、生涯消えることはないだろう。 「俺って最低だな」 桐乃だって挫折を知ってる。 越えられない壁にぶつかった事も一度や二度なんかじゃないだろう。 あるいは俺よりもコンプレックスを持ってるかもしれない。 俺は兄貴だから、どんなに気に入らなくても、例え無駄だろうと、 ちゃんと自分の気持ちに素直になって、あいつを応援し続けなきゃいけない。 当面の目標を確かめる。 1.目標の大学の合格 2.桐乃と仲良くなる事 「よし!」 桐乃に一言だけ「ガンバレ」と声をかけて、それから図書館で勉強しよう。 俺は勉強道具をバッグに詰め込み、自室の扉を開けた。 636 名前:【SS】ガンバレ 2/3[sage] 投稿日:2011/08/11(木) 10 20 14.29 ID xdBhCdG70 [3/10] 「八月十一日はガンバレの日か」 『ガンバレ』なんて言葉を見ると、あたしがリアと勝負した日のことを思い出す。 京介があんなに応援してくれたのに、結局あたしは勝てなかった。 普段からもっと京介に素直になっていたら、あいつの応援にもっと力を出せたのかもしれない。 時々、そんなことを考えちゃう。 あたしが何事にも全力で頑張るようになったのは、あいつが原因だ。 あいつとあんな事があったからだ。 あの日から、あたしはあいつを見返すために頑張り続けてきた。 いまじゃそれだけの理由じゃないけど、それでも始まりとして胸に刻んでる。 勉強とかモデルとか、成功したものはいくつもある。 でもあきらめた事、あきらめかけた事もいくつもある。 あたしは絵が下手だし、不器用だ。 黒猫みたいに好きな衣装を作ることも、一人でゲームを作ることも出来ない。 ゲーム作りは結局最後には手伝ってもらったって話だけど、それでも素直にすごいと思う。 そしてあたしは何度も、色んな事をあきらめかけた。 オタク趣味やあやせのこと、小説を盗作された事や、アメリカでダメになりそうになった事。 どれももうダメだと思った。気持ちは諦めていなくても、もうどうしようもなくて挫けかけた。 努力じゃどうにもならない事を思い知った。 でもその度に、いつもいつも京介に助けられてきた。 そしてその度に、あたしは胸にかすかな痛みを覚えた。 京介はいつもあたしをこんな気持ちにさせる。 あたしを見てくれない京介が嫌いだ。 あたしより全然ダメな京介が大嫌いだ。 京介のことを考えるたびに生まれるこの胸の疼きは、きっと生涯消えないんだろう。 「ダメだな、あたし」 京介はいつもあたしのために頑張ってくれているのに、あたしはこの気持ちを全部京介のせいにしようとしちゃってる。 京介は今大切な時期なのに、色々と迷惑をかけちゃってる。 きっとこれからも何度も迷惑をかけちゃう。 京介はたぶん、ちゃんとあたしのことを見て、あたしのことを想ってくれている。 言葉にしなくても、傍にいてくれるだけであたしを元気付けてくれる。 だから、あたしもちゃんと返していかないと。 当面の目標を確かめる。 1.世界陸上へのリベンジ 2.京介と仲良くなる事 京介に一言だけ「ガンバレ」と声をかけて、それから自主練しよう。 あたしは練習に使っているスポーツバッグを手に取ると、自室の扉を開けた。 637 名前:【SS】ガンバレ 3/3[sage] 投稿日:2011/08/11(木) 10 20 34.64 ID xdBhCdG70 [4/10] 扉を開けると桐乃がいた。 「あ・・・・・・」 俺の顔を見て桐乃が硬直する。 この様子からすると、俺の部屋に用事でもあったのか? だがスポーツバッグ持ってるしな・・・・・・ 「おまえ、今からどこか行くのか」 「う、うん。今から陸上の練習」 練習か。こんなに暑いのに相変わらずの努力家だな。 「あんたは?」 「俺は図書館で勉強だ」 「ふ~ん」 会話が途切れる。 桐乃は何かしら言いたそうにこちらをチラチラと見るんだが、一向に口を開かない。 仕方がない。俺から切り出そう。 「暑い中大変だな。 俺も応援してるから、陸上の練習『ガンバレ』よ」 「―うん! あんたも受験勉強『ガンバって』ね」 「ああ」 とりあえず目標の『ガンバレ』は言えたが、なんとなく去る気にはなれずに立ち尽くす。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 桐乃も同じようだ。まだ何か言いたいんだろうか。 どうしようか、そう考えたとき、頭に当面の目標が思い浮かんだ。 「一緒に行かないか?」 「一緒に行く?」 見事にハモった。 「・・・・・・あたしの中学と図書館ってまったく別方向なんですけど。 なに?あたしと一緒にいたくて、この暑い中遠回りするつもり?」 桐乃がくすくすと笑う。 「お、おまえだって俺を誘っただろ?」 「あたしはいいの。 ・・・・・・図書館の近くのスポーツ用品店に用があるから」 「なら俺も、おまえの中学の近くの本屋で参考書が買いたくてな」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 再度無言で見つめあう。 ど、どうするか。 次の行動を考えようとした俺の手を、桐乃が掴んだ。 「ほら、早く行こ!」 桐乃は楽しそうに笑うと、俺の手を引いて階段へと向かう。 「あんたはいつ頃勉強終わる?」 「昼飯に一度帰るつもりだけど、四時くらいだな」 手に桐乃の暖かさを感じながら答えた。 「わかった。じゃあ四時に図書館で待ち合わせね。 その後何か冷たいもの食べに行こ!」 「それは良い考えだな」 一緒に冷たいものでも食べれば、俺はこの大嫌いな妹ともっと仲良くなれるだろうか。 確かに努力が実らない事はたくさんある。 確かに努力でどうにもならない事もある。 だがよ、努力しだいで良くなるものもあるだろう。 お互いに仲良くなる努力をして、大嫌いよりも大きな大好きを集めて、俺たちの距離は少しずつ縮まっていく。 オリジナルサイズ